「赤備え」はヒバで組んだ膳引の上に、朱塗りのコ字型で覆った小型仏壇です。そこに仏壇設備として、簾(すだれ)の扉と背板、LED照明を組み込みました。吊り下げ式の扉は閉扉はもちろん、全開と半開の3段階に調整でき、全開時は跳ね上げて仏壇上部に収納します。背板は、埋込みLEDの光をその質感で受けるよう、麻を抄き込んだ金和紙を選択しました。
高価な塗り部分を限定しつつ、ヒバ、簾、和紙の各部位を切り分けて素材の構成で効率的に組み上げること、いわば分節と構成によって場を構築しています。この手法は今様のインテリアに見合う親和性も高く、現代の国産仏壇のデザインには有効な手法であるように思っています。
「赤い塗りの仏壇にすること」「鎧の造形を一部取り入れること」は産地から求められた条件でした。彦根仏壇は甲冑製造の技術を起源とし、彦根藩主井伊家の甲冑は赤備えであることが伝統です。紐で吊り下げる縅(おどし)のモチーフとして簾を選択したり、ヒバに鎧板張り風の仕上げを施しているのはそのためです。
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税別 ¥290,000 ※仏具は別売