2023年秋、パリで開かれるイベント「京都茶の湯への誘い / Invitation à l’art du thé de Kyoto qui émerveille le monde entier」の解説冊子。参画する茶の湯に関わる家13軒をフランスに伝える。
単なる和文化を伝えるものにしたくないと考え、職人を含めた様々な視点などを取り入れ、多角的で厚みのある多様なテーマを伝えたいと考えた。なぜなら、この13軒は茶の湯という文化的な側面が強く、品質が高いということに収まらずその場に話題をもたらすことが役割である、と考えているからだ。もちろん物が話題性に耐えうるだけの品質を備えていることは必要であるが、物を介してある話題性のかたまりを提供できることが本質的な価値である。その点において単なる伝統産業や伝統工芸とは違い、文化性、つまり話題を提供し発信している13軒であると捉えている。
文章や作品、制作風景だけでは、京都側から見ている視点でしか対象物を伝えられないと考え、フランス側から視点や感想、フランス人が自分でも取り入れられそう、少し試してみたいと思ってもらえる要素を可能な限り取り入れようとした。そのため、現地の取材だけではなくフランス人を招いてイベントを行い、その楽しんでいる表情や驚きの瞬間をコメントとともに掲載している。
各家の紹介は見開きで行い、左側は品質の高さを見せる写真を大きく、右側は4つの視点を提供している。SDGsへの配慮により紙媒体を厚くすることが好まれないという条件があり、限られた紙面の中で可能な限り多面的な視点を提供しようとしている。